過去のご挨拶

いま見つめなおすこと、
いまやるべきこと、
これからもやり続けること

昨年、理事長としての挨拶をしたためてから、一年が経ちました。昨年は令和になって、という言葉がそこかしこで聞かれました。いまは、コロナの話題一辺倒です。そのような中、昨年所感として述べたことが、今どうなっているか、見つめなおすべきこと、継続すべきこと、さらに発展させるべきことを考えてみました。

1.生涯学習としての歯科審美学

認定医、認定士、ホワイトニングコーディネーターの積極的な資格取得の奨励と、安定的な資格更新について、学会で企画する学術大会、学術講演セミナー、ホワイトニング講習会等による生涯学習を掲げました。残念ながら一堂に会しての学びの場を企画することが困難な状況にあります。来年に向け、各委員会でアイデアを持ち寄り、新たな形態でのセミナー等の企画を練ることを検討しております。一方で「歯牙の漂白の特商法適用」施行に対する法令遵守の理解に寄与する「歯のホワイトニング処置の患者への説明と同意に関する指針」を策定し、学会Webサイトのみならず、一般にも公開いたしました。このような貴重な情報も、会員の皆様にはいち早くお伝えし、コンプライアンス遵守への対応をこれまで通り継続して参ります。
 各種資格申請・更新に必要な単位確認への煩雑さを解消するため、単位確認システムの改良に着手しております。学会のWebサイトを一新するべく、広報委員会を中心に現在鋭意取り組んでおります。システムが構築できましたら、改めましてお伝えしたいと思います。また、2019年秋の台風、今年の豪雨、そしてCOVID-19の影響で更新条件が整っておられない方に対しましては、学会として配慮致しますので、ご相談ください。

2.「歯科審美学」の刊行

多くの会員に執筆を依頼して完成した「歯科審美学」(永末書店)が昨年8月に刊行されました。本書は以前策定された「歯科審美学学習カリキュラム」に基づいて編纂されたものです。認定医、認定士の資格試験に際しての成書として、また、全国から依頼のある出張講義の内容の拠り所として編纂されたものです。会員にとっても生涯学習の一環として一度ひも解いていただけることを願っております。監修者の意向で全国の歯学部・歯科大学図書館ならびに関連団体に寄贈させていただきましたことをこの場をお借りして報告いたします。

3.超高齢社会における審美歯科治療

8020達成率が50%を超えたわが国では、高齢者であっても歯の治療、メンテナンスが必須という時代を迎えております。そして、残存歯数が多いことが生命予後、認知機能、さらには口腔機能低下症に影響するという報告があります。オーラルフレイルの前駆兆候として口腔リテラシーの低下が考えられています。つまり、口腔に関する関心の低下がオーラルフレイルに影響する、というものです。いわばオーラルフレイルに至る最初の兆候が口腔への無関心、と解釈できます。この最初の一歩を踏み出させないよう、口腔に関心を持つこと、言い換えれば歯科審美的な関心を持ち続けることが、健康寿命の延伸に貢献すると考えられます。このことを証明するために、日本歯科審美学会では、令和元年度日本歯科医学会プロジェクト研究課題として採択された「AI活用によるオンライン口腔健康管理システムの構築」を推進して参ります。コロナの影響で、進捗が遅れておりましたが、学会の臨床研究倫理審査承認を受け、「アンケートによる患者調査」の準備が整いました。大きなデータに基づくエビデンスの構築を目指しておりますので、本調査には多くの会員の参画が、どうしても必要です。別途学会Webサイト等を通して詳細をお伝えしますので、是非、日本歯科審美学会を挙げてのプロジェクトに、皆様のご協力をお願いいたします。 以上、一年前に述べましたことを振り返り、反省を踏まえ、しかしながら本学会が会員皆様のご理解とご協力のもと確実に社会貢献の一翼を担ってきているとの矜持をもち、難しい状況の中でも、着実に前進し続けていることをお伝えし、本会の活動にご理解ご協力をお願いいたします。

2020年7月30日
理事長 藤澤政紀
日本歯科審美学会について